大気汚染防止法及び石綿障害予防規則の改正により、建築物・工作物等の解体・改修工事を行う際には「事前調査」を行い、結果を労働基準監督署及び地方公共団体に報告する事が義務付けられました。
一般的に「アスベスト調査」と言われているものは、この事前調査のことを指します。
事前調査は以下のような流れで進めます。


なお、事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者が行う必要があります。
※事前調査が有資格者でなければならないのは2023年10月からとなります。
建築物石綿含有建材調査者などの有資格者についてはこちらをご覧ください。
※1 書面及び目視調査でアスベストなしの判断をする場合には、必ず無しの判断根拠が必要になります。
※2 該当建材を石綿含有ありとみなして飛散防止対策を行う場合は、試料採取・分析を行う必要はありません。
ただし、石綿含有ありとみなした場合、除去等の際は、必要となる可能性がある措置のうち最も厳しい措置を講じなければなりません。
実際に調査を進める際は、「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策マニュアル」を参考にしてください。
アスベスト調査は、結果報告書を使用して事前調査の記録をしていきます。
(以下のリンクをクリックするとダウンロードされます。)

設計図書・竣工図・改修図・対策工事記録等より、建材の使用場所や石綿使用の有無に関する情報を読み取ります。
合わせて、発注者様へのヒアリング等によりさらに情報を入手します。

図面上と実際の使用建築物が必ずしも一致するとは限らないため、現地目視調査は原則として※必ず実施します。ここでも、現場関係者や発注者様へのヒアリング等を合わせて行い、確認漏れが無いように調査します。
目視調査の段階で、構造上確認する事ができない箇所があった場合には、解体等工事着手後の目視が可能となった時点で行う必要があります。
※平成18年9月1日以降の着手及び設置が書面調査により明らかな場合は、「書面調査のみで事前調査を終了して差し支えないとされています。
〇石膏ボードとケイカル板の判断
〇石膏ボード


天井や壁に多く使われています。基本的に天井・壁は石膏ボードです。表面に紙が貼ってあり、中は白い粉(石膏)が固められています。(古いボードの中身は、薄い黄土色やピンク色の物もあります。)

裏面に認定番号がプリントしてあるボードがあります。この番号を確認することでアスベスト含有の有無が分かります。認定番号の確認はこちらです。

和室の天井には、杉柾プリント柄のボードもあります。

パーティション内部にボードが入っていることがあります。
〇けい酸カルシウム板(ケイカル板)1種

耐火を必要とする天井や壁に使用されています。(軒天、ひさし、トイレ、厨房、階段室、玄関、ベランダ隔壁など)厚みは4mm~10mm程度です。

表面に紙は無く、硬いです。マイナスドライバーなど尖ったもので押すと、石膏ボードとの違いは、すぐ分かります。まれに柔らかいものがありますので注意が必要です。
〇けい酸カルシウム板(ケイカル板)2種



鉄骨の柱・梁の周り、工場の高温配管周り、配管・配線貫通部などに使われています。厚みがあり軽いです。
(12mm~70mm)
通常は室内で使用されますが、工場では屋外で使用することがありますので、配管周りは必ず確認して下さい。
〇岩綿吸音板


強度が弱いため、下地に石膏ボード等が使われて2枚貼りになっていることが多いです。マイナスドライバー等で押すと簡単に穴が開き、層状になっています。
〇ソフト巾木

巾木自体にアスベストが含有しているものは、ほぼ現存していません。しかし、接着剤にアスベストが含有されていることがあります。
〇Pタイル

Pタイル自体にアスベスト含有している場合と、接着剤にアスベストが入っている場合がありますので、試料採取に注意が必要です。
〇バーミキュライト(ヒル石)

階段裏に使われている場合や、公共住宅の天井に使われていることが多いです。リフォームされて2重3重に塗装された下から出てくることもあります。
〇スレートボード(波型スレートボード、大平板、フレキシブルボードなど)


新しいもの以外は、アスベスト含有の可能性が高いです。少量であれば検査費用がもったいないので、みなし有にしてよいと思います。
〇じゅらく壁

和室の壁仕上に使われます。じゅらく塗に注意が必要です。
〇プラスター塗

古い住宅の壁に使用されています。
〇プラスター塗(下地:石膏ボード)

プラスター塗と石膏ボードの間にあるけいそう土にアスベストが含有しています。
〇プラスター塗の間に石綿吹付け材

〇塗床(ぬりゆか)

給食室や工場の床などに使われます。
〇石綿発泡体

〇発泡プラスチック系断熱材

接着材に含有している割合が多いです。
〇アスファルト防水


屋上のコンクリートを10cm程度コア抜きすると出てきます。表面に施工されていることも多いです。


〇煙突断熱材、エルボ保温材、配管フランジパッキン、ダクトパッキン、ボイラー保温材、キャンバス継手、ボイラーパッキンなど
【煙突断熱材】

【エルボ保温材】

【配管フランジパッキン】

【ダクトパッキン】

【ボイラー保温材】

【キャンバス継手】

【ボイラーパッキン】

機械設備に付帯するものも見逃さないでください。煙突断熱材は、煙突の一番内側にあることが多いですが、内部と外部の筒の間に施工されている場合もよくありますので見逃さないでください。煙突は屋上部分及び機械部分が金属であっても躯体を通過している場合、躯体部分のみ断熱材がある場合があります。面倒でも必ずご確認ください。
〇その他建材も注意が必要なものが多々あります。慎重に調査してください。

書面調査及び現地での目視調査の結果をもとに、石綿含有の有無が把握できない場合は、該当の建材を採取し分析調査を行います。
※分析は弊社のような専門機関でないと不可能です。弊社の場合、採取した試料をお送り頂ければ、分析したうえで報告書の作成をいたします。
記録にはいずれの方法で判断したか、その判断根拠として使用した書類を含めて記録します。
調査結果は、石綿含有建材の使用箇所を的確に伝えられる形式で記録します。
この記録は3年の保存が必要です。※
※大気汚染防止法では解体工事が終了した日から3年、石綿障害予防規則ではすべての事前調査が終了した日から3年の保存が必要です。
提出(報告)は施工業者(元請事業者)が行います。
原則、「石綿事前調査結果報告システム」から電子申請で行います。※
(※「gBizID」への登録が必要です)